チーム跳び箱・6年児童の作文(跳び箱発表会終了後)
私たちの跳び箱オリンピック(M.Oさん)

この跳び箱オリンピックはとてもチームワークのいる跳び箱です。私たちのチームはもめたりしてなかなか練習ができませんでした。私は、「本当にこのチームでいいのかな。発表までに成功できるのだろうか?」と強く思いました。練習を重ねていき、とうとう当日がきました。私は最初、開脚とびでやっていました。でも、先生が「頭はねとびでやってみたら?」とおしゃったので、私は頭はねとびで挑戦しました。(よし、がんばるぞ)私は心にちかい、「行きます!」と言いました。 次から次へと間をあけずにとび、私達の発表が終わりました。(やったあ!成功だ。頭はねとびも成功だ。今までで一番すごい。)最後にチームが一番まとまったような気がしました。

このチームは話し合いに時間がとられ、なかなか運動ができなかった。こういう話し合いが必然的におこるところが、このチーム跳び箱のいいところかな?と思い、口出しはしなかったが、運動量は足りなかったかもしれない。また、時間が足りなくなってくると、急いで跳び始める為、危険なときもあった。(反省)…M.Oさんはチャレンジタイムで頭はねとびができるようになっていたが、セーフティーマットがなかったため、チーム跳び箱ではためらっていた。学校の器械の数が制限があるので、みんなでやるときどうしてもたりなくなってしまう。みんなが跳ばないといけないので、跳び箱の高さも頭をなやますところである。
チーム跳び箱のこと(A.Uくん)

チーム跳び箱で一番よかったことは、チームの目標(間をあけない・つめつめとび)がよくできていたことだ。よくなかった点は、最後にフィニッシュが決まったけど、拍手が鳴り終わるまでやろうと決めていたのに、2.3人はやく終えてしまったのが残念だった。自分の悪かったことは、きれいに側方倒立回転とびができなくてとっても悔しかった。今、思い出してみても、いっぱい直したらいいところが頭に浮かぶ。逆によかったところは、最後の34人跳び箱で、うまく側方倒立回転とびができて、とてもうれしかった。あと、みんなの息がとっても合ってうれしかった。また、跳び箱の発表会がしてみたくなった。

ビデオで自分たちの演技を撮影しておいて、給食の時間に見せているが、子どもたちが一番に気がついたところは「ロイター板の音がかっこいい」だった。ひとりずつやっていたときには、音についての発見は子どものほうからはなかったが、集団でやると「音のリズム」が心地よく聞こえるらしい。それが、このチームの「間をあけない」という課題につながっている。最後にそれぞれのチームの発表を組み合わせて34人でいっせいに演技をした。それをこの児童はえらく気に入っている。「みんなでできた!」という満足感があるのかもしれない。
チーム跳び箱のこと(K.Hくん)

ぼくが跳び箱の授業で一番印象に残っているのがチーム跳び箱です。このとびかたの一番いいところは、みんなが心を ひとつにしてできるところです。また、対話するので、もっと友達と友情を深められるのでいいと思いました。最大の短所は、速くやっていると友達が遠くに着地していないときがあって、そのときに開脚とびをすると、その友達に当たりそうになって、大きな開脚とびができないので、これはだめだなあと思いました。ぼくがこの学習で一番うれしかった瞬間は、「かかえこみくっしんとび」ができたときです。なぜかというと、この技は、跳び箱のたてでやるのは高校生並みだ、と言われたからです。一番くやしかったのは、側方倒立回転とびを最後までマスターできなかったことです。
安全面でもチーム跳び箱は課題がある。いい加減にやっていたら、友達とぶつかったり、足があたったりするのだ。逆に言えば、いいかげんにできないので、集中力を高めるのにはいいかもしれない。ふざけたり、いいかげんな気持ちでは、この学習に取り組ませてはいけない。
がんばった跳び箱オリンピック(M.Oさん)
私は1班なので一番最後の演技でした。他の班はとてもうまかったので、「失敗しないかなあ」と、とても緊張していました。すぐに私の番はきました。「行きます!」と大きな声で言ってから2番目に跳ぶのです。この班の見所は「2秒後ダッシュ」です。「ダン!」少し跳び箱の前のほうをつきすぎて、後ろのほうがういてしまいました。(ありゃー失敗しちゃった…)と思いました。でも、2秒後ダッシュがうまくできたので(まあ、いっかー)と思いました。跳び箱チャレンジタイムでは、どうしても首はねとびができなくて残念でした。おしいとこまでいったのに。でも、かなちゃんとマリオがはげましたくれたので1回だけできたんです。
この班は課題を「次から次へと跳ぶこと」としていたので、前の人が飛んで2秒後に助走を思い切りとれば、いい演技ができると話し合っていった。自分の演技も大事だが、この児童のようにチームの「課題」をしっかりと意識化させたいものである。子どもは「課題」をすぐに忘れてしまう。
どきどきの跳び箱オリンピック(M.Hさん)
私たちは4.5年に跳び箱の発表を見せました。私は開脚とびをみせようと思っていましたが、急に頭はねとびにかえました。私は跳び箱道場で首はねとびと頭はねとびの練習をやっていました。だけど、跳び箱の上で回転するのがこわくてなかなかできませんでした。「なんでみんなどんどんできていくのに、私だけでけへんの。」と思ったこともいっぱいありました。だけど、友達のはげましがあったので頭はねとびをオリンピックで見せることができました。頭はねとびをしたとき、4年生の子たちが「すげー」とか「おおー」とか言ってくれて、スッゴクうれしかった。(まだ完ぺきじゃないのに…)と思ったけど、声をかけてくれたことに対してすっごくうれしかった。やっぱり、友達のはげましや言葉は心のささえになります。この跳び箱の学習で、いっぱいできるようになったし、先生の言っていた「なかまとの喜び」がわかったような気がしました。
この児童は技能は低いほうであったが、放課後に練習しにくることが多く、本人の努力でいろんなことができるようになった。友達とのかかわりも多く、補助してあげたり補助してもらったり、楽しく学習している。個人的な運動だからこそ、なかまとのふれあい・対話が必要なのではないだろうか。一部の技能の高い子だけでなく、すべての子どもが「器械運動の授業は楽しい!」と答えるのはそんなところにあるのかもしれない。もちろん「かかわり方の指導」の徹底が必要であるが…
できなかった首はねとび(T.Kくん)
何回もやっているうちになんと台上前転ができた。つぎの首はねとびはかんたんだと思った。でも、なかなかできない。5時間練習したができない。たぶん、台上前転と首はねとびの区別ができていないのだろう。チーム跳び箱は、もうほとんど技ができる人は技をきれいにするのにはいいが、まだ、できる技が少なくて、もっとチャレンジしたい人にはあまり向いていないかもしれない。ぼくは、首はねとびや頭はねとび、前方倒立回転とびや側方倒立回転とび、かかえこみくっしんとびなどができる人はどうしてあんなすごいことができるのだろうと思う。伸びが速い人と、そんなに速くない人との差はいったいどこにあるのだろう。
チーム跳び箱の欠点も書いてね、といったらこんなことも書いてくれた。この児童は5年の1学期まで開脚とびどころか前転もできなかった。しかし、本人の努力でいろいろな運動ができるようになり、たいへん体育に対して意欲的になってきている。がんばっているのにできない、というもどかしさを感じているのだろう。本人は首はねとびを完成したくてしかたないのだ。だから、チーム跳び箱の時間もおしいのかもしれない。だから、チーム跳び箱は45分やるのは望ましくない。45分を2つに割って、後半は「できそうな技にチャレンジする」時間にしてあげなくてはならないと思う。
(C)Copyright by Kiyotaka Nakajima
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